鹿と少年
冬休みを利用して,「鹿と少年」という本を読んだ。これはアメリカの小説家ローリングズが1938年に著した「The Yealing」を,土屋京子さんが訳したもので,上・下合わせて800ページの長編だ。
今まで日本では,「子鹿物語」が出版され,児童文学として扱われてきたが,実際には,フロリダの原野を開拓した一家の少年が,自然の中で,父をはじめとする周囲の人々や,友達の子鹿とふれあうことで成長していくという人間ドラマだ。
この小説のすばらしいところは,熊狩りや隣人との駆け引きなどのストーリーのおもしろさにとどまらない。フロリダの自然がありのままに描かれていることに感心する。咲いている花が美しく表現され,たくましく生きる動物の生態がくわしく記述されている。数えてみたら,上刊だけでも,実に140もの動植物の名前が出てくるのだ。
この本を知ったのは,「ジョディーと子鹿のフラッグと」という人業劇を公演したむすび座の方の紹介による。素敵な文学に出会えて,うれしい。
(光文社古典新訳文庫刊)
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