岩竹千佐子/おらおらでひとりいぐも
第158回芥川賞受賞作「おらおらでひとりいぐも」(岩竹千佐子:河出書房新社)を読んだ。岩手県遠野市出身の著者が,東北弁で書いた本だ。
東北から東京へ出てきた主人公の桃子さんが,ご主人と出会い,二人の子供を育て,ご主人が先立ってから15年がたつ。74歳になって,自分の中のたくさんの人と会話しながら一人で生きている。相手に言いたいことを上手に伝えられず,息子や娘と疎遠になっている。そんな人生だが,祖母,母,自分,娘,孫娘とつながっていることを思い,これからの人生に望みを持つ。
浅田次郎の「おもかげ」は,生死をさまよう主人公が,夢の中で自分の出生を知り,よみがえるという話。なんだか共通するところがある。
本の帯には,「青春小説の対極,玄冬小説の誕生!」とある。
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