「銀河鉄道の父」を読んで
第158回直木賞受賞作「銀河鉄道の父」(門井慶喜:講談社)をやっと読み終えた。同じ日に買った芥川賞の「おらおらでひとりいぐも」は,スラスラ読めたが,この本は400ページ超。なかなか読み進まなかった。
「銀河鉄道の父」とは,「銀河鉄道の夜」を書いた宮沢賢治の父,政次郎の視点から描かれた「親子小説」だ。古着商を営む政次郎は,息子に商売を継がせたかったが,その気がないと知ると盛岡中学校や盛岡高等農林学校への進学を許した。宗教上の対立があったが息子を尊重し,賢治が家出して上京したときには,暮らしを心配している。賢治は稗貫農学校の教師となるも,数年で退職し,農民となってしまった。それでも,賢治の執筆活動を応援し続けるよき理解者であった。
この小説の最後では,政次郎と賢治の親子の絆が綴られている。賢治は,父政次郎が思う人生とはならなかったが,父親に感謝して亡くなっていったのであろう。
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