浅田次郎/獅子吼(ししく)
浅田次郎の「獅子吼(文春文庫)」を読んだ。
この本は,「獅子吼」「帰り道」「九泉閣へようこそ」「うきよご」「流離人(さすりびと)」「ブルー・ブルー・スカイ」の6編からなる短編集だ。
「獅子吼」は,戦時下に動物園で飼育されていたライオンが,命令により,かつて飼育係をしていた飼育員の兵士から銃で撃たれるという話。ライオンの視点から描かれているが,悲しく切なく,やりきれない。でも,最後の銃で撃たれるところまでは描かれていないで,余韻を持たせて話は終わる。
戦争で動物園の猛獣を始末しなければならないというような世の中には絶対にしてはならないと思う。
解説で,俳優の吉川晃司さんが,「流離人」が映像化されるなら「さすらい中佐」を演じてみたいと言っている。もし,映像化されたら,どんなになるんだろう。ぜひ,観てみたい。
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