« 三徳山三佛寺投入堂 | トップページ | どっこい,ネコハギは生きている。 »

2023/08/01

医療戦士かく戦えり

Rekishiiryou_senshi01as

「幕末維新とパンデミック 医療戦士かく戦えり」(泉秀樹 著 2022年7月 日本医療企画刊)を読んだ。
新型コロナウイルスによるパンデミックのことかと思ったら,前に幕末維新と書いてある。なんと幕末には,1822(文政5)年,1858(安政5)年,1862(文久2)年の三度もコレラが流行し,それぞれ多数の死者が出たということだ。もともとコレラはインドの風土病であったが,ヨーロッパの大航海時代にヨーロッパへ広がり,中国や東南アジアにも広がったということだそうだ。江戸時代にはコロリと言って恐れられた。
安政のコレラ流行は,長崎に入港した外国商船が上海から持ち込んだコレラ菌が最初で,細菌による感染症であるという知識のない江戸時代の庶民の間で大流行したという。そんなとき活躍したのがオランダ人のポンペであり,ポンペが長崎奉行所内に開いた「医学伝習所」で学んだ松本順であった。また,適塾を開いた緒方洪庵も天然痘の治療に尽力した。
この本では,幕末の日本の医療だけでなく,当時の政治情勢も詳しく論述していて,大変興味深かった。明治期,明治10年,西南戦争で勝った凱旋兵士が乗った艦船内にコレラ患者がいて,関西全体にコレラが広がったという。この後,明治期にはコレラの大流行が何度も繰り返し起こったという。医療が進歩した現代に生きていることに,感謝。

|

« 三徳山三佛寺投入堂 | トップページ | どっこい,ネコハギは生きている。 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 三徳山三佛寺投入堂 | トップページ | どっこい,ネコハギは生きている。 »