蒲生邸事件をよんだ。
「蒲生邸事件」(宮部みゆき著 文春文庫 2000年刊)を読んだ。94
大学受験生孝史が予備校受験のため宿泊していたホテルが火事になり,時間旅行者平田に助け出される。助け出されたのはそのホテルが建っていた旧蒲生邸で,二二六事件が起こった1936(昭和11)年2月11日だった。二二六事件が起こった2月11日,退役陸軍大将の蒲生憲之が自決する。ただ自決ならば側にあるはずの拳銃が見つからず,誰かが殺したのではないかという疑問も残る。
平田はこの蒲生邸の下働きとして雇われていて,やけどを負った孝史は平田の甥として紹介され,女中のふきの世話になる。
1945(昭和20)年5月,空襲よる火事で蒲生邸が延焼したことを,タイムトリップで見た孝史は,ふきに一緒に出ようと言うが,ふきは断った。孝史とふきは,ふきの誕生日4月20日正午に浅草雷門で逢う約束をして,孝史は現代に帰った。そして,4月20日に現れた女性はふきの孫であった。ふきは6年前にがんで亡くなっていて,孝史に手紙を残していた。
文庫本で680ページにも及ぶ長編で,とても読み応えがあった。この作品は,1996年の日本SF大賞を受賞している。それにしても,あとがきで「蒲生憲之陸軍大将はまったく架空の人物」と記述されているのにはビックリ! それを読むまで,蒲生邸事件は本当にあったと思っていた。
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