2025/09/30
2025/09/05
伊予原新/翠雨の人
翠雨の人(伊予原新著 2025年7月 新潮社刊)を電子書籍で読んだ。
物語は,気象庁を定年退職して数年後,奈良岡が小平霊園にある猿橋勝子の墓に参ったところから始まる。奈良岡は,墓に紫陽花を供えた。勝子は生前「紫陽花は,わたしと気が合うの。雨が好きなのよ―。」とよく言った。翠雨とは,木々の青葉に降る初夏の雨のことだそうだ。
幼いころ雨に興味を持った勝子は,帝国女子理学専門学校に進学する。二年生になった勝子は,実習の中央気象台で三宅泰雄に出会い,「ポロニウムの物理・化学的研究」という研究題目をあたえられる。ポロニウムは,マリー・キュリーが発見した放射性元素だ。
昭和22年,勝子は気象研究所の正規研究員となる。奈良岡は同僚である。その後,アメリカのビキニ水爆実験で降った「死の灰」による放射能汚染の測定にたずさわり,研究の成果が認められた勝子は,東京大学から理学博士号を授与された。そして,平塚らいてふに認められ,国際民主夫人連盟第四回世界大会に派遣され演説した。
猿橋勝子のお別れの会に出席できなかった奈良岡は,自分の孫が医学の道に進むことを報告した。







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