2025/10/23
2025/10/19
「崋山先生の画帖」を読んだ。
「崋山先生の画帖」(住田真理子著:2025年 風媒社刊)を読んだ。住田真理子さんの書籍を読むのは,公務員船頭「牛川の渡し物語」に続いて2冊目。東海日日新聞に連載されていた小説で,前作と同様にmichiさんの紹介で知り,購入した。
渡邊崋山は郷土が誇る偉人で,江戸幕府末期に田原藩家老として,また画家として活躍した人物である。天保の大飢饉のときには,食料備蓄庫(報民倉)を築いて領民を助け,藩内から一人の死者を出さなかった話は,有名。 田原藩隠居格の三宅友信の側用人として尽くし,友信に蘭学を勧めている。
崋山は外国船打ち払い令を批判する「慎機論」を書き,未発表の草稿を発見され,投獄されることになる。田原の池の原に蟄居させられてからは,貧しい暮らしの中で絵をかいて生計を維持するものの,「罪人のくせに絵をかいて売っている」という讒言を苦にして,自害している。
この小説では,崋山にかかわる様々な人物の眼から,崋山の生涯をえがいている。誰にでも優しく慕われていた。第一画から第六画まで,話に引き込まれた。
WHAT'S HAGISANで紹介した本は,これで100冊目。
2025/10/04
2025/10/03
地中海世界の歴史7/「平和と繁栄の宿命」
地中海世界の歴史7/「平和と繁栄の宿命」パクス・ローマーナ(本村凌二著 講談社選書メチェ 2025年)を読んだ。99
紀元後54年の皇帝ネロの即位から,284年のディオクレティアヌス皇帝即位までの時代を取り上げている。パクス・ローマーナとは,「ローマによる平和」を意味するそうだ。ローマ帝国が繁栄したこの時代には,地中海世界の各地に,コロッセオをはじめとした円形闘技場や神殿,凱旋門などがつくられている。入浴場や水道橋なども整備され,貴族をはじめ一般市民の生活は向上していた。79年にヴェスヴィオ火山が噴火し,ポンペイの町が埋もれた被害もあった。
闘技場では人と人との決闘が見世物として行われ,勝者は英雄となるが,敗者は殺されるという残忍なことが行われていた。平和な世とはいえ奴隷制もあり,驚かされることが多かった。
五賢帝時代が最も安定していて,114年のトラヤヌス帝のときにローマ帝国の範囲は最大となる。続くハドリアヌス帝は,現在のフランス・イギリス・スペイン・チュニジア・ギリシャ・エジプトなどの属州を3度にわたり視察し,支配を確実なものにしている。ハドリアヌスの属州視察についての記述は,興味深いものがあった。






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