地中海世界の歴史7/「平和と繁栄の宿命」
地中海世界の歴史7/「平和と繁栄の宿命」パクス・ローマーナ(本村凌二著 講談社選書メチェ 2025年)を読んだ。99
紀元後54年の皇帝ネロの即位から,284年のディオクレティアヌス皇帝即位までの時代を取り上げている。パクス・ローマーナとは,「ローマによる平和」を意味するそうだ。ローマ帝国が繁栄したこの時代には,地中海世界の各地に,コロッセオをはじめとした円形闘技場や神殿,凱旋門などがつくられている。入浴場や水道橋なども整備され,貴族をはじめ一般市民の生活は向上していた。79年にヴェスヴィオ火山が噴火し,ポンペイの町が埋もれた被害もあった。
闘技場では人と人との決闘が見世物として行われ,勝者は英雄となるが,敗者は殺されるという残忍なことが行われていた。平和な世とはいえ奴隷制もあり,驚かされることが多かった。
五賢帝時代が最も安定していて,114年のトラヤヌス帝のときにローマ帝国の範囲は最大となる。続くハドリアヌス帝は,現在のフランス・イギリス・スペイン・チュニジア・ギリシャ・エジプトなどの属州を3度にわたり視察し,支配を確実なものにしている。ハドリアヌスの属州視察についての記述は,興味深いものがあった。
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