2018/08/12

「島はぼくらと」を読んで

辻村深月の「島はぼくらと」を今日までに読み終えた。電子書籍版で,500ページ超。なかなか読み応えがあった。Sony Readerを手に入れたとき,「島はぼくらと」のお試し版が入っていたが,今回辻村さんの「かがみの孤城」が本屋大賞に選ばれたということで,あらためて購入し,読んでみた。

フェリーで本土の高校に通う,離島の高校生四人の友情物語。島ではIターンの人を積極的に受け入れ,くらしをサポートしている。妊婦や乳幼児をかかえる家庭への援助も手厚い。そんな島でくらす人の様々な人間模様を描きながら,四人はさまざまな問題に立ちむかっていく。そして,それぞれ将来を思い描いていく。
最後は,網元の娘で島を出ることができない衣花は,20代で村長となり,同級生が看護師として戻ってくるのを迎えた。

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2018/07/15

「銀河鉄道の父」を読んで

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第158回直木賞受賞作「銀河鉄道の父」(門井慶喜:講談社)をやっと読み終えた。同じ日に買った芥川賞の「おらおらでひとりいぐも」は,スラスラ読めたが,この本は400ページ超。なかなか読み進まなかった。

「銀河鉄道の父」とは,「銀河鉄道の夜」を書いた宮沢賢治の父,政次郎の視点から描かれた「親子小説」だ。古着商を営む政次郎は,息子に商売を継がせたかったが,その気がないと知ると盛岡中学校や盛岡高等農林学校への進学を許した。宗教上の対立があったが息子を尊重し,賢治が家出して上京したときには,暮らしを心配している。賢治は稗貫農学校の教師となるも,数年で退職し,農民となってしまった。それでも,賢治の執筆活動を応援し続けるよき理解者であった。
この小説の最後では,政次郎と賢治の親子の絆が綴られている。賢治は,父政次郎が思う人生とはならなかったが,父親に感謝して亡くなっていったのであろう。


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2018/06/07

「中世の東海道をゆく」を読んで

「中世の東海道をゆく-京から鎌倉へ,旅路の風景」(榎原雅治著 中公新書1944 中央公論社)を読み終えた。

今まで,五街道を歩き終え,二回目の東海道もあと二回ぐらいで歩き終える。歩いている中で,江戸時代以前にも東海道に道があることを知り,中世の東海道に興味を持った。

鎌倉時代の貴族・飛鳥井雅有が東海道を旅したときの旅日記「春の深山路」「都の別れ」などの記述をもとに,中世の東海道の風景を想像していくという書籍で,電子書籍版で読んだ。
とにかくおもしろい。
中世の熱田から鳴海間の東海道は,鳴海潟という海を通っていて,旅人は干潮を待ち歩いて渡ったという。

また,浜名湖の今切は1498(明応7)年の大地震または翌年の高潮ででき,浜名湖が海とつながったという通説は江戸時代の根拠希薄な文献からきていること。中世の旅日記を読み解くと,明応年間以前から浜名湖には海の水が遡上しているとしている。また,榎原氏は,今から千年前すなわち平安時代には塩分を含んだ珪藻が多くなっているという浜名湖の湖底ボーリング調査の結果を引用し説明している。

旅日記を読み解き,旅人が通過した時刻の潮位を調べ,その当時の風景まで想像するすごい内容だ。
沼田新田や浮島が原,横須賀城周辺を流れる前川・原野谷川,木曽三川・・・。また行ってみたくなった。

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2018/02/08

岩竹千佐子/おらおらでひとりいぐも

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第158回芥川賞受賞作「おらおらでひとりいぐも」(岩竹千佐子:河出書房新社)を読んだ。岩手県遠野市出身の著者が,東北弁で書いた本だ。
東北から東京へ出てきた主人公の桃子さんが,ご主人と出会い,二人の子供を育て,ご主人が先立ってから15年がたつ。74歳になって,自分の中のたくさんの人と会話しながら一人で生きている。相手に言いたいことを上手に伝えられず,息子や娘と疎遠になっている。そんな人生だが,祖母,母,自分,娘,孫娘とつながっていることを思い,これからの人生に望みを持つ。

浅田次郎の「おもかげ」は,生死をさまよう主人公が,夢の中で自分の出生を知り,よみがえるという話。なんだか共通するところがある。

本の帯には,「青春小説の対極,玄冬小説の誕生!」とある。

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2018/01/11

浅田次郎「おもかげ」

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冬休みに,浅田次郎の「おもかげ」(毎日新聞出版刊)を読んだ。毎日新聞に2016年12月から17年7月まで連載されたものだそうで,刊行後すぐに買った。
定年退職の送別会の帰りに,地下鉄車内で倒れた昏睡状態の主人公が,夢の中でいろいろな人に出会うという話。両親を知らず養護施設で育った主人公が家庭を持ち,幸せな人生を歩み,定年でさあこれからというときに生死をさまよう。でも,最後には意外な展開が待っていた。
浅田次郎ってすごい。


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2018/01/03

獅子文六「箱根山」

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獅子文六の「箱根山」(ちくま文庫)を読み終えた。この「箱根山」は1961(昭和36)年に朝日新聞に連載されたもので,昨年文庫版化されたそうだ。昨秋ちょうど東海道箱根路を歩いていたことから注文したのだが,とてもおもしろかった。執筆当時,獅子文六は毎年箱根芦之湯に行っていて,この小説を構想したという。芦之湯の老舗旅館二軒の因縁と,箱根の観光開発にまつわる西武グループと東急・小田急グループの対立,そして藤田観光の進出などを楽しく書いている。もちろん名前は変えてあるが,箱根山人物相関図があって分かりやすい。

登場人物の北条一角が言った「箱根というところはケンカばかりしとるじゃないか。箱根の山は天下の嶮じゃなくてケンカのケンだぜ。」という言葉がおもしろい。現在は共存共栄で,箱根全体が魅力的な観光地となっている。箱根駅伝の中継で芦之湯が写った。旧東海道ではないので歩いてはないが,また行ってみたいと思った。

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2017/12/10

女興行師 吉本せい

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今年度後期のNHK朝の連続テレビ小説「わろてんか」主人公北村てんのモデルとされる吉本せいの本を読んだ。この本は,著者の矢島誠一氏が1987年に中央公論社より出版したもので,今回読んだのは新版。「わろてんか」の放映に合わせ,新版としてちくま文庫から出版されている。新版といっても,内容はほとんど変えていないそうだ。30年も前に書かれている本が,また脚光をあびたのは,すごい。
「わろてんか」の主人公てんを演じる葵わかなさんは,若いのに明るく良い演技をしている。最近では,寄席を買い,落語家の団吾のことで,家族や芸人のことを顧みない夫の藤吉のやり方に不満を募らせている。ドラマだと,この先どうなるのだろうと不安になってしまう。けれどもこの本を読んでいくと,吉本は大阪でたくさんの寄席を手に入れ,多くの落語家を所属させたことがわかる。

今テレビに出る吉本の多くの芸人が,「ヨシモト」のことをネタにして笑いをとる背景が分かった感じがする。

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2017/09/24

道と越境の歴史文化

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「道と越境の歴史文化~三遠南信クロスボーダーと東西文化」(和田明美編 青簡(たけかんむり+もんがまえ+つき)舎)という本を読んだ。愛知大学では,毎年「越境地域政策研究フォーラム」という研究会をしており,その成果をまとめた書籍で,玉村の源さんから贈っていただいた。
難しい本だが,中世の東三河と西遠には,伊勢神宮の御厨が置かれていて,共通点が多いこと,旅日記からみると新居関所の東西で比較的容易に関所破りが行われていたことなど,結構面白かった。
益々,三遠南信地域のことに,興味を持った。


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2017/08/15

「剣と紅 戦国の女城主・井伊直虎」

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昨日までに,「剣と紅 戦国の女城主・井伊直虎」(高殿円 文春文庫)を読み終えた。400ページ以上という長い小説だったが,楽しく読めた。
大河ドラマの原作かなとも思ったが,若干違うようだ。例えば,直虎の名前では,大河が「おとわ」なのに対し,この小説では香(かぐ)となっている。また,大河では政次も幼なじみとなっているが,この小説では政次は少し年上となっている。
それでも,大河ドラマがこの小説「剣と紅」を参考にしたのではと思えるところがある。小説では,香が小法師と呼ばれ先を読む能力があるだとか,香には政次に白い鯉が見えるとかいうメルヘンチックなところだ。空の雲を見た少年が龍雲丸を名乗り活躍するというドラマのストーリーは,ロマンがあって通じるところがある。

写真の左は,この本のカバー。右側は,カバーの上に巻かれていたもう一つのカバー。大河ドラマ「直虎」のイメージカラーのようだ。 

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2017/05/20

教師「ん」とカリンを読んだ

教師「ん」とカリン(越村清良:深夜叢書社刊)を読んだ。今日,読者プレゼントで送られてきて,一気に読んだ。
母子支援施設に入所している少女が,突っ張っていた中一までの自分から脱皮しようとして,担任教師「ん」に立ち向かう。

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