「藍を継ぐ海」を読んだ
「藍を継ぐ海」(伊与原新 新潮社2024刊)を電子書籍版で読んだ。伊与原新さんの本は,「オオルリ流星群」に次いで2作目。
この「藍を継ぐ海」は,第172回の直木賞受賞作。「夢化けの島」「狼犬ダイアリー」「祈りの破片」「星隕つ駅逓」「藍を継ぐ海」の短編5作品が収録されている。どれも面白く,どんどん読み進むことができた。
「夢化けの島」は,萩市の見島が舞台。見島の地質を研究する主人公と萩焼の見島土を求める陶芸家の物語。主人公の研究者は,論文が評価されず科研費も得ることができないという助教という立場。大学の研究室を知る伊与原さんだからこその設定。興味深い。見島土を検索したら,萩ジオパークのHPにたどり着き,よい勉強になった。
「狼犬ダイアリー」は奈良県東吉野村で,ニホンオオカミと紀州犬の血が混じった狼犬ロマン。「祈りの破片」は,長崎で原爆が落ちた後,浦上天主堂の残がいを集めた学者の話。「星隕つ駅逓」は,北海道遠軽町に隕石が落ちたという話。そして,「藍を継ぐ海」は,徳島県の海岸でのアカウミガメ産卵の話。日本各地を取材して,ステキな作品を創りあげている。
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